『豆の上で眠る』湊かなえ著/2014 新潮社
久しぶりに、溱かなえ氏のミステリーを読みたくなり、未読の本作を図書館で借りて来ました。いつもながら、ラストの謎解きの段になって、「あれ?そのシーン何ページだっけ?」と遡って探しまくって伏線を再確認してました。なかなか面白かったです。
過去にある女の子が失踪する?誘拐される?のですが、明らかにその女の子が現代に存在してるので、「ん?ではどこかのタイミングで見つかってるのか?それは安心していいのか?」とよくある誘拐犯や被害者が最後どうなる的なミステリーとまた違った展開に、まったく予想がつきませんでした。
ストーリーを読み終えた時の主人公の心情を考えたら、かなりモヤモヤしました。これは『イヤミス』なく『モヤミス』ですね。伏線はしっかりすべて回収。不思議に思えた展開も矛盾なくラストに収束して行きます。しかしそれなのになんかモヤモヤする。面白いですねぇ。自分が主人公だったらこの真実・結末をどう受け入れるのであろうか。そしてどう家族と向き合っていくのだろうか。とても考えさせられました。
あえてこの『豆の上で眠る』というタイトルにしたのも秀逸。この意味を噛み締めてまた読み返すのも良いです。家族とは何か、兄弟・姉妹とは何か、自分にとっての真実とは何かをしみじみ考えさせられる良書です。
読後感として、『八日目の蟬』を思い出しました。こちらももう一度読んでみようかな。