整体を履き違えた行為は、認められない

「腕利き整体師」無資格治療の疑い 甲子園球児もケア (2010年5月18日asahi.comより抜粋)  医師免許がないのに医療行為である電気治療を長時間行い、けがを負わせたとして、千葉県警は18日、同県船橋市で整体院を営んでいた村田愛子容疑者(52)を業務上過失傷害と医師法違反(非医師の医業)の疑いで逮捕した。  県警などによると、村田容疑者は「腕利き」と口コミなどで評判になり、多くのスポーツ選手が通院。一昨年夏と昨年夏の甲子園の出場校に同行し、球児のケアもしていた。整体院などから、東北から近畿にかけた10都府県45校の高校名が書かれた名刺を押収したという。  村田容疑者は2008年11月から翌年12月にかけ、17回にわたって男女4人に電気治療器で電流を流す医療行為をしたほか、09年11月3日、4人のうちの1人の男性(74)の首などに約7時間電流を流して皮膚に全治約1カ月の低温やけどを負わせた疑いがある。  電気治療は通常15分ほどだが、村田容疑者は7~8時間連続で流すことが多かったという。県警は、同容疑者が「患者から『長時間やると痛みが取れる』といった声があり、続けていた。けがをさせなければ大丈夫だと思っていた」と供述している、と説明している。同容疑者は、柔道整復師やはり・きゅう師などの資格もなかったという。  村田容疑者のケアを受け、昨夏、甲子園に出場した野球部の元主将(19)は「部にとってかけがえのない人。治療してもらって良くなっただけでなく、人柄にも随分救われた」。監督は「生徒も私も信頼していたからショック。今年、かかわってもらえないことはチームに痛手だ」と話した。
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 船橋市の52歳の女性整体師が、患者への電気治療器を用いた治療行為により低温やけどを負わせ、やけどを負わせたことでの業務上過失傷害と、無資格で治療したことでの医師法違反の2つの罪で逮捕されました。同業者としてはたいへんショックですが、あらためて整体業とはどういうものかを考えさせられる思いがしました。  この整体師は、今まで実際に効果を出し、地元での評判も良かったらしいので、今回の件でも患者さんに良かれと思ってやった行為だったのでしょうが、やはり整体というものを履き違えた行為で、けっして認められるものではありません。まずやけどを負ってしまった患者さんがかわいそうですし、それに何より、患者さんたちの信頼を大きく裏切ったことは許されないことだと思います。  電気治療器にもさまざまな種類があり、何をどの目的で使用したかは分かりませんが、7~8時間も電気をかけるというのは聞いたことがありません。通常の使用法を大きく逸脱しています。もし日常的に行われていたのなら、今までなんの問題も表面化していないのがふしぎなくらいです。それにただ装置をつけて長時間通電させるだけならば、それは整体ではありません。きっとこの方はある時期から、もしかしたらはじめから、整体からは外れ、違う方向に行ってしまっていたのでは、と思います。  それに、日本では民間資格の扱いでしかない整体では、治療行為は認められいないということも、整体師は常に自覚しておかなければならないのに、平然と電気治療を施しています。この点もいいかげんとしか言いようがありません。整体療法は、けがや病気の治療でなく、慢性痛や疲労の回復・改善、健康増進や姿勢矯正といったことのためにあります。けがをしてからでなく、けがの予防、病気になってからでなく、未病からの改善のためなのです。そこを履き違えると医師法に抵触した行為、いわゆる治療行為の域に入ってしまいます。それは一見患者さんのためのように思えるのですが、実は危険で無責任な行為なのです。  いつもいつも繰り返し言いますが、「安全はすべてに優先する。」これを整体師はけっして忘れてはなりません。多少の逸脱行為をしてもそれで患者さんが良くなればいい、などという考えはただの驕りです。この整体師が逮捕されたあと、どういう罰が科せられるかは分かりません。その後また整体業に復帰を考えるなら、今度こそ安全面と法の遵守を最優先に考えて、真に患者さんのためになるように、整体を施していってもらいたいと思います。 ========================= 《メルマガ『まぐまぐ』発行しています》 『整体師のミカタ』 に関してご意見やご要望などが ございましたら、お気軽にお知らせください。 http://www.mag2.com/m/0001002720.html   これからもどうぞよろしくお願いいたします。   =========================
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