人まかせでは安全は守れない○

生肉食中毒:卸業者「100%使用可能」…メールで提案(2011年5月9日毎日jpより)

 焼き肉チェーン店「焼肉酒家えびす」をめぐる集団食中毒事件で、卸売業者「大和屋商店」(東京都板橋区)が09年5月、チェーン店を経営する「フーズ・フォーラス」社(金沢市)にメールでユッケ用生肉の販売を提案し、「歩止り(使用可能な部分の割合)約100%」と伝えていたことが8日、分かった。フーズ社側は、仕入れ肉は表面を削り取る「トリミング」が不要と判断、2カ月後に取引を開始していた。富山県警などの合同捜査本部は、肉の納入経緯や契約内容を調べている。

 ◇「えびす」表面削り不要と判断

 毎日新聞が入手した大和屋からのメールは09年5月20日に送信され、「国産牛 和牛経産(出産したことがある牛)モモ赤身100% ユッケ用のサンプルが出来ました。社員とサンプルテストしましたが、どの部位を食べてももんだいは無く感じました」と安全性を伝えていた。また肉質は「和牛の血統でその上雌なので味があります」とし、「歩止り約100%で、無駄がありません」としていた。フーズ社幹部は「『歩止り約100%』なのでトリミングは大和屋側で行い、そのまま調理し提供できると思った」という。

 大阪府内の食肉関係者は「歩留まり約100%と提案されれば、トリミング処理は済んでいると判断するのではないか」と話す。大和屋側は板橋区保健所に「加熱用なのでトリミングせずに出荷した」と説明している。

 一方、大和屋の役員とみられる男性が、ユッケにも使える生肉をインターネットで通信販売していたことも分かった。サイトによると、通信販売していた業者の所在地とファクス番号は大和屋と同じ。男性名は、大和屋の登記簿に記された取締役と同じだった。サイトでは「交雑種/外モモ/B2です。赤身率が高くユッケやロースで使用できます」と説明していた。毎日新聞の取材に対し、通信販売業者も大和屋も電話に出なかった。

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 4人の死者と多数の重症患者を出した焼肉チェーン店『焼肉酒家えびす』での集団食中毒事件は、店側と卸業者『大和屋商店』側との責任のなすり合いが報じられていますが、それこそ消費者不在のあきれた泥仕合です。さらには『えびす』の社長は当初、国の規制の甘さが事故を生んだかのような発言をしていました。

 国の規制が厳しくし、生肉専用の物しか出回らなかったら・・・、卸業者が菌に汚染された肉を卸していなければ・・・、店で提供前に、細菌検査を実施していれば・・・たしかに防げたかもしれません。これを自分で自身のところを責めるなら分かります。「私の不備さえなければ・・・」と。しかし安全を人まかせにしておいて、事故・事件が起こった際に「オラ知らねぇ」では無責任、勝手過ぎます。

 店としては、卸業者からユッケ用として100%使用できる肉を提供されたとしていますが、もしそうだとしても消費者の安全を考えたら、やはり大腸菌に汚染されていないかを、検査してから出すべきです。最終的に消費者に提供したのは、まぎれもなく『えびす』自身です。この事実からはけっして逃れることはできません。

 『えびす』は自分で確保できたはずの安全を人まかせにした結果、このような事件を引き起こしました。卸業者も生で食べられることを想定した商品の衛生チェックを怠った責任は大きいと思います。国にも、世間一般に牛肉ユッケが広まっていた事実を、黙認し放置してきたという責任があると思います。亡くなった方の遺族の中で、国を提訴する人も出てくるかもしれませんね。

 誰かが守ってくれるだろうではなく、自分のところで安全は確保するんだという強い意識で、何事にも取り組む姿勢が必要です。

 

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