ペニオク詐欺サイトと、サンクコスト○

永井大も!!芸能人嘘ブログ20人以上か(2012年12月15日asahi.comより)

 入札のたびに手数料を支払う仕組みのインターネットオークション「ペニーオークション」をブログで紹介していた芸能人の名前が14日夜、続々と挙がってきた。俳優永井大(34)タレント東原亜希(30)モデル菜々緒(24)で、永井は公式に謝罪した。既に松金ようこ(30)ほしのあき(35)熊田曜子(30)ピース綾部祐二(35)が、ブログで落札していない商品を落札していたと、うその記述をしていたことが判明した。

 永井は10年12月22日のブログで、ペニーオークション「激安オークションYasuu!」で855円でiPadを落札したと掲載し、同オークションを「気になる方はお試しあれ」と紹介していた。その事実関係を認めた永井はこの日夜、ブログで「知人を介してペニーオークションを利用し、物品を受け取ったのは事実です。何も考えず安易に物品を受け取ってしまった事、それをブログに掲載したことによりブログ読者の方々に多大なご迷惑をおかけする事になってしまった事を深く反省しております」と謝罪した。

 所属事務所によると、永井は食事の席で知人から依頼され、同オークションを利用、物品を落札したという内容の記事をブログに掲載。しかし、実際には落札せず、物品を855円で受け取っていたという。記事に対する謝礼については「受け取っていない」とし、物品は返却しているという。

 東原と菜々緒も書き込んでいた。東原は10年12月29日のブログで「オークションライフ」でiPadを安く落札したと記載。菜々緒は同12月10日、ブログで友人から聞いたというペニーオークションの「劇的オークション」を紹介。ともに所属する事務所は「現時点では何もコメントできない」としている。

 モデル小森純(27)も11年1月7日、「ギャルオークションでアロマ加湿器を225円で落札。ありえない。他にも、女の子の好きなアイテムがたくさんあって、面白いから、のぞいてみてね」などと記載。所属事務所は実際に落札していたかについて「確認中」と説明している。

 また、ペニーオークション手数料詐欺事件で、詐欺容疑で逮捕された会社役員の鈴木隆介容疑者(30)らが、摘発された同オークションサイト以外に複数のサイトを運営していたことが捜査関係者への取材で分かった。京都、大阪両府警はこれらのサイトとの関連を調べ、鈴木容疑者が宣伝するため、芸能人を「広告塔」として利用した可能性もあるとみて捜査中。ブログにペニーオークションについて「格安で商品を落札した」と掲載した芸能人は、20人以上という情報もある。

 ◆ペニーオークション 入札のたびに数十円の手数料が取られるネットオークション。開始価格が低く、格安で落札できることが売り。小銭の意味もある英国の通貨単位「ペニー」が由来。05年ごろドイツで考案され、国内では09年末から業者が増え始めた。国民生活センターなどによると、10年半ばから「何回入札しても落札できず、手数料だけとられる」などの苦情や相談が急増。消費者庁も注意を呼び掛けている。

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 以前ブログで、「ペニーオークション、一種のギャンブルでは?」という記事を書いて、ペニオクの危険性を警告していましたが、現実にはもっとひどいことになっていたんですね。詐欺まがいではなく、完全な詐欺行為。しかもそれを、大勢のタレントが宣伝までしているなんて、あきれて、開いた口がふさがりません。すでに、多くのペニオクサイトが閉鎖をし、詐欺サイト運営者達はなんとか逃げ延びようとしていますが、警察は威信にかけても、逃げ得にならないよう、残らず、摘発・検挙してほしいと思います。

 元々は先月、ワールドオークションというサイトの運営していた、鈴木隆介容疑者らが詐欺容疑で逮捕されたのがきっかけです。ステルスマーケティングの手法を使って、タレントに詐欺の片棒を担がせていたのが判明したのですが、このタレント達も実に脇が甘いというか、あまりにも考えが浅はかですね。場合によっては、タレント生命の危機でしょう。わずかな小遣い稼ぎのつもりが、ずいぶん痛いしっぺ返しを食らったものです。

 「オークションで落札したことにして、この商品を受け取って!それで、ブログにオークションの記事を書いてちょうだい。」って頼まれた時点で、?オカシイ?と気づくべきでしょう。もっと言えば、その頼まれたこと自体を記事にすべきだったでしょう。そうすれば、詐欺サイトの実態を暴くことに貢献し、「よくぞやった!」と賞賛されたでしょうに。永井大さんなんて、そんな正義の味方役にピッタリだったのに、悪の手先になっちゃいましたね。残念です。

 それにしても、この『ペニーオークション』という制度、人を騙すにはもってこいのやり方です。とくに入札毎に小額の手数料を掛けるあたりが絶妙です。なぜなら、実はこれこそ『サンクコスト効果』を巧みに利用した手法だからです。

 サンクコストとは、経済用語で、埋没(sunk)費用(cost)のことです。つまり投資などをして、お金をつぎ込んだのだが、もう回収不可能になってしまった(埋もれてしまった)費用のことを指します。費用には金銭だけでなく、労力や時間も含まれます。

 オークションに手数料を支払って参加しても、落札できなかった場合は、この費用は全額サンクコストになります。取り返せないからサンクコストなのですが、このコストを取り返そうという心情が働きます。すると、まったく関係ないはずの次のオークションで、落札すれば、このコストを取り返せるという錯覚に陥るのです。これを『サンクコスト効果』といいます。

 本来、またオークションに参加して、手数料を損するくらいなら、今まで支払った手数料のことは忘れて、もう参加しないのが合理的な判断なのですが、実際にそのように判断し、行動するのは難しいです。「頭では分かってんだけど・・・」ってヤツですね。

 しかし悔しいのは、運営者がその心情を利用して、手数料を荒稼ぎしているということです。冷静に考えれば、このペニーオークションという制度がどんなに悪どさを秘めているのか分かりそうなものですが、サンクコストの錯覚に陥ると、周りが見えず、元を取ろうと躍起になって、返って大損してしまうのです。

 ひょっとしたら、詐欺ではないペニオクサイトも存在するかもしれませんが、基本的に詐欺サイトと思ってかまわないでしょう。すでに手数料をつぎ込んでしまった方は、オークションで元を取ろうとするのでなく(元を取るという発想が間違っているのですが)、詐欺罪で告発して取り返すのが唯一のやり方でしょう。

 『サンクコスト』という言葉、覚えておいてください。 

 

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