『できない』と『あえてやらない』○

 先日、首の筋違えでお困りの患者さんがいらっしゃいました。本人曰く、寝違えだろというのですが、もう2週間近く経つというのにまだ痛み・違和感が治まらないというのです。私が「その間、どこかで治療など受けたのですか?」と聞くと、一度、ソフトカイロというものを受けたが改善しなかったと言うのです。

 そういういきさつも有って、実はこの患者さん、予約時にしきりと骨格の矯正をするかどうかを聞くのです。そこで私が、「ズレがあると認められて、矯正の必要性があれば、やります。必要がなければ、わざわざ音を出すためにポキポキするようなマネはしません。」と答えると、納得されて、そのまま予約をされました。

 実際に施術では、頚椎の5番にズレが見つかったので、まず丹念に身体全体(首だけでなく)をほぐした後、最後に矯正を行いました。本人も驚くほど稼動範囲も広がり、ほぼ痛みも解消しました。ただし、その1回だけでは、効果の持続に若干の不安が残るので、身体の状態と今後の整体の利用の仕方を説明し、患者さんも納得のうえご予約してお帰りになりました。

 最近は、「ポキポキしません。」を謳い文句に『ソフトカイロ』や『ソフト整体』が増えていますが、これらはおそらく、骨格の矯正が『できない』のだと思います。患者さんの身体の状態やご本人の希望で、矯正はできるけど『あえてやらない』という選択肢を選ぶいいのですが、できないのでは話しになりません。そういう名ばかりの『整体』『カイロプラクティック』は看板を別の療法に付け替えてほしいと思います。何より、ズレや歪みを直してくれると思って来院する患者さんに失礼です。

 この『できない』と『あえてやらない』では、結果は同じようでも、天と地ほどの差があります。子供を叱る時、『叩けない』のか『あえて叩かない』のか、それにより子供が親や先生に持つ印象は大きく変わってきます。空手道でも突きが『届かない』のか『あえて寸前で止めている』のかで、判定は真逆になります。また、どうにか相手をごまかすことはできても自分の心根はごまかせません。『できない』なら、まず『できる』ようなるための行動を起こすことが大事で、その上で、状況に応じて『あえて使わない』という選択肢を持つことで、さらに自分がひとまわり大きくなれます。

〈整体師の味方コメント〉

 『できない』のに、『あえてやらない』ふうに見せかけても相手にはすぐ見透かされます。それは子供へのしつけ、仕事関係、如いては国際関係でも同じです。  

 

=========================

《メルマガ『まぐまぐ』発行しています

》 『整体師のミカタ』 に関してご意見やご要望などが ございましたら、お気軽にお知らせください。 http://www.mag2.com/m/0001002720.html   

これからもどうぞよろしくお願いいたします。  

=========================

2024年4月
« 3月    
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930