ナントカ整体とは言っても結局・・・○

 先日、新聞折込のデイサービスのチラシに『介護整体』の文字を見つけました。介護整体?なんだそりゃ?という感じだったのですが、介護関係の友人に聞くと、最近、デイサービスは他との差別化を図るため、マッサージなどのサービスを導入するところが増えているのだそうです。

 チラシの内容からみるとそこは、介護整体は専門スタッフが、機能訓練は柔整師が行うようです。しかし疑問が残ります。本当にこのスタッフが行うのは『整体』なのでしょうか。整体と称して実質的に行うのはマッサージなのでは?と勘ぐってしまいます。というのは、整体は、脊椎等の調整を目的とする点において、あん摩、マッサージ又は指圧と区別されているからです。

 つまり整体は、骨格調整を最終目的とし、筋肉へのほぐしはその過程であるというものなのです。こういう施設内で求められるサービスは骨格調整でなく、筋肉へのマッサージでしょう。そうであれば、介護サービスの一環としてマッサージを行うあん摩・マッサージ師を置くべきなのです。

 日本では、あん摩・マッサージ師以外の者(医師を除く)が、医業類似行為であるマッサージを業として行うことはできません。しかし整体業は、あくまで民間資格の『その他の医業類似行為』に分類されたまま、国家資格と認められてはいないのです。これは法の不備で、早急に法制化していただきたいのですが、道のりは遠そうですね。

 この法の不備を突いたやり方で、整体と称した違法マッサージが後を絶ちません。ですから私達、骨格調整をメインとする本来の整体師まで、あん摩・マッサージ師さん達から疎んじられてしまうのです。いい例が、中国整体ですね。実は、中国に整体はありません。中国に行って「整体」と言ってもおそらく通じません。整体は日本独自のものです。では、中国には何があるのか?それは『推拿(すいな)』です。『推』はおす、『拿』はつかむ・つかまえる、という意味です。これはズバリ『あん摩』のことを意味します。ですから、ひと昔前までは、『中国マッサージ』とか『中国式あん摩』と言っていたのです。

 しかし当然、推拿を学んで日本に来た中国人は、日本で3年間、専門学校に通ってあん摩・マッサージ師の資格を取ったりなどしてはいませんから、日本でマッサージ業は行えないことになります。そこで思いついたのが、『中国整体』という言葉なのです。実質的にはマッサージなのですが、看板の掛け替えでどうにかなってしまうってものどうかと思います。もちろん、自身の持っている骨格調整技術に、推拿の技術を加えていくことは、素晴らしいことで、何ら批判されることはありません。『推拿=整体』と位置づけてしまうことに、私は危惧を覚えるのです。

 リラクゼーション整体、足裏整体、今回の介護整体、または国名などを付けて中国整体、韓国整体、台湾式整体、タイ古式整体など、○○整体というのは数限りなくありますが、その整体の部分をマッサージに置き換えても何ら違和感がないことに気づきませんか。また、気功整体や無痛整体なども骨格調整をしているとは言えないので、整体と称することに疑問を感じます。せめて気功療法とか、無痛療法とかにしてほしいです。

 この、マッサージを整体と置き換えればセーフみたいな風潮を、止めてほしいと切に願う次第です。  

 

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