読書感想『黄色い家』(ネタバレ)

最近、また読書にハマっていて、いろいろ図書館で借りています。ずっと前に何十人待ちで予約していた本が借りられたので読んでみました。以下ネタバレ含む感想です。

『黄色い家』

川上未映子著 中央公論新社 2023年発行

第75回 読売文学賞(小説賞)を受賞

 

600ページに及ぶ長編作。

ストーリー展開は思ってたのと違って、タイトルの黄色い家も黄色くなったのはかなり後の方で、しかも部屋の壁。

主人公の花と同居することになる黄美子さんが悪者になるのかと思ったら、不思議キャラのまま。どちらかというと主人公の方が性格悪いかも?と思ってしまった。

途中、主人公が犯罪者で読み進めていくと犯人に共感したり、犯行がバレて捕まらないかドキドキするというような展開もあり、ストーリーを堪能できた。

本編に出てくる、悪事ビジネスを紹介してくれる女性の、「世の中はできる奴が全部やることになっている。頭を使える奴が苦労することになっている。苦労する事は、苦労もできない馬鹿よかマシでしょ?あいつらは幸せかもしれないけど馬鹿だよ。あいつらは考えないから幸せなんだよ。(それでもあなたは)幸せなんかなりたい?」というセリフにはなんだかすごく共感した。

ただ、結局、主人公たちは悪事を働いて手にしたお金をそのまま(花は、黄美子さんに置いてきたが)分配して自分の金にしてしまったので、そこは釈然としない。幸せを手に入れた描写はないが罪も償っていない。

花と黄美子さんと絆が感じられるエンディングは良かったが、スッキリした読了感は得られなかった。

2024年4月
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