安易に死を選択してしまう時勢だからこそ

光母子殺害、元少年に死刑判決 広島高裁差し戻し控訴審(2008年04月22日朝日新聞asahi.comより)  山口県光市の母子殺害事件で、殺人と強姦致死、窃盗の罪に問われた元少年(27)に対する差し戻し控訴審で、広島高裁は22日、無期懲役とした一審・山口地裁判決を破棄し、死刑の判決を言い渡した。楢崎康英裁判長は「強姦と殺人の強固な意思のもとに何ら落ち度のない母子の生命と尊厳を踏みにじった犯行は、冷酷残虐で非人間的と言わざるを得ない」と述べた。さらに「虚偽の弁解を展開して罪と向き合うことを放棄し、遺族を愚弄する態度は反省とはほど遠く、死刑を回避するに足る特段の事情は認められない」と判断。一審の事実認定に誤りはないが、量刑は軽すぎると判断した。元少年側は上告した。  ◇〈光市母子殺害事件〉 99年4月14日、会社員本村洋さん(32)の妻弥生さん(当時23)と長女夕夏ちゃん(同11カ月)が殺害され、当時18歳の元少年(27)が逮捕・起訴された。一審・山口地裁(00年)と二審・広島高裁(02年)は殺意や強姦目的を認定する一方、「更生の可能性がないとはいいがたい」などと述べて無期懲役とした。しかし、最高裁は06年6月、「死刑を回避するに足りる、特に酌量すべき事情があるかどうかさらに審理を尽くさせるため」として審理を差し戻した。◇ ~:~:~  もともと、最高裁の「極刑やむなし」の姿勢が読み取れた差し戻しですから、死刑判決は極めて妥当なのですが、あらためて死刑の判決が出て、ほっとしています。被告の元少年は上告しますが、ほぼ上告棄却⇒死刑確定となるものと思われますので、この判決が事実上の最終判決でしょう。  たとえ(18才の)少年でも、他人の命を奪えば、自分の命を持って償うべき場合がある。これを社会にはっきり示してくれたことは大きいと思います。まだ、精神的に未発達だから、家庭環境に恵まれなかったから、若く、将来更生する可能性があるから・・・弁護しようと思えば、理由はいろいろ出てくるでしょう。しかし、判決は、まず第一に、被害者の尊厳と遺族の心情を踏まえたもの、そして犯罪の抑止力となるべきものでなければならないと思います。それを考えると今回の判決は、死刑という極刑でしかないと思うのです。そして、安易に死を選択してしまう時勢に、生を大事に考えるからこその死刑判決だと思うのです。  今まで、少年犯罪の裁判では、たとえ凶悪なものであっても、更生の道を考慮した、加害者に配慮がなされたものでした。しかし同時にそれは、被害者や遺族を苦しめるものとなりました。実は、私には、出版当時どうしても読むことができず、そのままになっていた本があります。少年犯罪被害当事者の会 著の 「話を、聞いてください」という本です。  数年前に、本屋さんで平積みされて売っていた時に、興味を持って少し立ち読みしたのですが、読んでいる内にだんだんと苦しく、つらく、とても悲しくなっていったのを覚えています。被害者、というよりも遺族の方に自分の気持ちが同調して、もし自分の家族が被害に遭ったら・・・と想像してしまうのです。その時の私は、どうしてもその本を買うことができず、その場を逃げ出してしまいました。著者はただ、題名どおり「話を聞いてほしい」だけなのに、私にはそれすらできなかったのです。   当然、加害者にも、それ相当の事情があると思います。生まれながらの悪人というものはいないと思います。加害者の家族のことを考えるととても気の毒に思います。しかし、だからと言って、許されないことがあります。どんな事情を考慮しても、死を持ってしか償えない時があります。これまでの裁判は、加害者の未来ばかりが、重要視されてきました。しかし、今回、被害者と遺族への償いを重要視した判決となりました。  本村さんをはじめとするご遺族の方々のこれまでのご努力、ご苦労が報われたことに安堵し、今回の判決が、少年犯罪だけでなく、凶悪犯罪の抑止力になることを期待します。 ~:~:~:~:~:~:~  今なら、あの時読めなかった本「話を、聞いてください」が読めるような気がします。    ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆  ↓励みになります。↓1日1回のクリックおねがいしま~す blogRanking にほんブログ村 健康ブログへ
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