国家資格の自覚を持って。

柔整師学校で無資格教員横行 厚労省、6校に補講指導(2008年9月5日asahi.comより抜粋)  接骨院や整骨院で治療にあたる柔道整復師の養成学校がこの10年間で7倍に急増、教員不足から無資格者による授業が横行している実態が、関係者の話で分かった。今年に入り6都府県の7校で無資格教員が判明しており、厚生労働省の出先機関が補講の実施など指導に乗り出した。  柔整師になるには、養成学校で一定の単位を取り、国家試験に合格することが必要。無資格教員による授業は無効となり、生徒は卒業に必要な単位が不足する「履修漏れ」に陥る可能性がある。 柔道整復師法に基づく養成学校の指定規則と指導要領は、教員の資格を担当分野ごとに定めている。医師や大学教員などが教えるべき科目を、柔整師や理学療法士、大学院生らが教えていた例が目立つ。   柔整師は、医師と同様、患者の治療代を健康保険請求でき、収入が安定していると、人気が高まっている。養成学校は「3年間で400万~500万円という高額授業料でも生徒を集めやすい」(西日本の学校長)とされ、既存の学科での生徒減少に悩む専門学校などが次々に参入。ここ10年で14校から97校となり、ほかの医療・介護系人材の養成学校に比べても急増が目立つ。一方で教員のなり手はこれに追いつかず、教員不足が慢性化。「厚労省に届け出た教員と実際の教員が違うのは、業界の慣習として許されてきた」(東日本の学校の元幹部)とする証言もある。  日本柔道整復師会は「利益優先で、学生募集のために国家試験対策を重視する学校が増え、まともに治療ができない柔整師が増えた。教員の質を上げるのは当然として、開業前の臨床研修制度などが必要だ」と指摘している。 ◇  柔道整復師 国の資格の一つで、取得するには、養成学校で3年以上の専門教育を受けたあと、国家試験に合格する必要がある。骨折、脱臼、打撲、ねんざ、肉離れを治療すれば、医療を補う行為として健康保険を請求できる。治療したケガの数が不自然に多いケースが増えており、治療日数を水増しするなどの不正請求も各地で発覚している。 ~:~:~  柔道整復師の資格は、上記のとおり国家資格です。それは、柔道整復行為が、骨折、脱臼、ねんざなどのケガの処置として医業に類似する行為であり、国が定める一定の知識や技量がなければ国民の健康を損なうおそれのある大事な職務だからです。  その柔整師を養成する専門学校で、このような無資格授業が行われていたとはたいへんショックでした。最終的には国家試験をパスしているので、問題はないとは思いますが、少なくともここ数年の間に柔整師になった人の中には、無資格者の授業を受けて知識や技術を学んだ者もいるという点では一抹の不安を感じます。そうした国民の不安を払拭するためにも徹底した調査と、再発防止策の検討をしてほしいと思います。  私は、日頃から電話で、「接骨(整骨)院と整体院って何が違うんですか?」とか、「どこに行ったらいいですか?」などと問合せを受けると、「まず(整形外科で)医師に診察してもらって、診断や治療をしてしてもらってください。治療については、接骨(整骨)院でも対応してくれる場合も多いですよ。」と、まず保険が効くところに行くことを勧めています。だってそのために毎月保険料を払っているのですから、それで治ってしまえば一番いいじゃないですか。  整形外科に行っても「別に骨には異常ないね。」と言われるだけだったり、接骨(整骨)院で保険適用範囲内で治療を受け続けもなかなか改善しない時に、私のようなところの保険の効かない整体を利用してもらえばいいと思っています。順番として、民間療法は最後でいいということです。それが、今回のようないいかげんな授業がまかり通っているのでは、「先に接骨(整骨)院さんへ。」とはお勧めできません。問題となった専門学校は、国民の健康に関与する国家資格者を、世に輩出しているという自覚をしっかり持ってほしいと思います。  我が身を振り返ってみると、整体の資格は、日本では、各任意団体が独自の基準で、認定書や修了書を発行しているいわゆる民間資格です。公的には無資格となんら変わりません。ですから、整体師と言っても玉石混合で、患者さんは、いざ整体を受けたくても、どこに行ったらいいか非常に迷うところです。そこで、家族や知り合いの紹介、口コミなどをたよりに来院するわけです。腕の悪い、評判の良くない整体院はどんどん淘汰されていきます。公的資格や保険適用のない分、整体を仕事としてやっていくには、患者さんの信用を得られるに足る十分な知識と技量が必要なのです。 ~〈整体師を目指す方へ今日の一言〉~  どうせ整体師を目指すなら、できるだけ厳しいところに身を置いて学んでください。在籍していた養成校の修了書や認定書の価値は、誰が決めるものでもない。あなたが決めるものです。整体師として名乗る資格があるかどうかは自分が一番よく知っているはずです。
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