いたずらはされる方も悪いのか?

 これは、ある小学2年生のお子さんを持つお母さん(と言っても私より若いですが)から、うかがった話しです。その子が学校から帰ってから、お母さんに見せた連絡ノートに「今日の忘れ物:絵の具セット」という主旨の事が書いてあり、お母さんは驚いたそうです。なぜなら、絵の具セットはきちんと朝、持たせたからです。お子さんになぜ忘れ物をした事になったのか尋ねたところ意外な答えが返ってきました。  あるクラスメートが、いたずらでその子の絵の具セットを隠してしまい、授業中に使うことができず、隣りのお友達に借りるはめになったそうなのです。その日じゅうに、クラスメートのしわざということが分かり、担任の先生に叱られて、お子さんに謝罪し、絵の具セットも無事戻ってきて、一件落着かと思いきや、担任の先生は、お子さんが授業で絵の具を使えなかったのは事実として、忘れ物扱いとしたのです。ちなみに、忘れ物1つにつき、漢字1ページ書き取りだそうです。そのお母さんは、半ばあきれ顔で、「担任の対応っておかしくないですか?」と私におっしゃいました。私もこれはおかしいと思います。  学校で起こったできごとを、小学2年生からお母さんが聞き、それを私が聞いているので、多少事実と異なる点があるかもしれませんが、うかがった内容から推察すると、お子さんは明らかに被害者で、罰を受けるのはクラスメートのみのはず。もしそれでも、お子さんに非があるとするならば、『絵の具の保管の仕方』に問題があり、「隠された方も悪い」とするしかありません。しかし、この考えはたいへん危険です。なぜなら、「盗まれる方も悪い」 とか「いじめられる方も悪い」 といった考えは、被害者をより傷つけ、ある意味、加害者の行為を正当化し、助長することになるからです。  クラスメート同士でケンカをしたり、誰かがいじわるしたり、いたずらしたり、または、誰かの不用意な行動で偶然軽いケガをさせられたり、その様なことを私は100%いけないことだとは思いません。むしろこの時期にそのような様々なプレッシャーを体験できるのは貴重なことだと思います。大人になって、社会に出れば、もっといろいろたいへんなことが待っているのですから。しかし、学習用具を隠すなど授業の妨げになるような行為は、いたずらにしては度が過ぎます。担任は二度とこんなことをしないよう、厳しく言って聞かせる必要があります。しかし、それが、物を隠された方にも罰があるとなると、被害側にも責があることになり、隠した方は、「ああ、自分だけが悪いんじゃないんだ。」と自分の行為を正当化してしまいます。そうなると、きっとこの子はまた、同様のいたずらをするでしょう。こうなってくると、今度は担任の指導方法が問われることになります。  加害者の前で、いたずらやいじわるをされた・いじめを受けたなど被害にあった側の責任をけっして追及してはいけません。そのような行為は、“行う側が100%悪い” それでいいのです。受ける側の子にもっとしっかりしてほしいと願うなら別の機会を持てばいいと思います。    話しは少しそれますが、“罰として”『漢字を書かせる』のも私は反対です。この時期、『漢字を覚える』のはとても大事なことです。国語力・読解力を高めることは、すべての学力向上には必須です。だからこそ、「勉強することは楽しい」 と小さい内から思ってほしいのです。誰だって楽しいことはすすんでやります。辛くて嫌なことは気が進まないでしょう。このやり方では、“漢字⇒罰”という図式を子供に刷り込んでしまいそうで心配です。  ひょっとしたら、この担任の先生は、自分が子供の頃、あまり勉強が好きじゃなかった(できなかったという意味ではありません)のかもしれません。勉学がきっと“勉が苦”になっていたのでしょう。でも、先生の役目は、勉学を“勉楽”にすることだと思うのですが。 ~〈整体師を目指す方へ今日の一言〉~  整体の勉強って楽しいですよね?! えっ、楽しくない?つらいばっかり?・・・それじゃあなかなか上達しませんよ。『好きこそ物の上手なれ』 です。
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