いかに自分をコントロールできるか

 先日の韓国で行われたフィギュアスケートのグランプリファイナルで、浅田真央選手がショートプログラム2位から逆転で、3大会ぶり2度目の優勝を果たしましたね。フリープログラムで2度のトリプルアクセルを決めて、ショートで1位だった地元キム・ヨナ選手を逆転しての優勝は見事でした。  翌日のテレビ局のインタビューで、浅田選手は、「自分の気持ちをコントロールできた」から優勝できたという主旨の発言をしていました。緊張しすぎないように、試合前、何度も深呼吸し、気持ちを落ち着けていました。過度の緊張は、それだけで筋肉の疲労を生み、競技後半のスタミナを奪うそうです。あれだけの大舞台で緊張しない方がおかしいのですが、筋肉疲労が出てくる後半のジャンプでミスを1回におさえた浅田選手と2回にミスしてしまったキム選手とで明暗が分かれました。   心の緊張は身体の緊張を生みます。逆に身体の過度の緊張を解くことができれば、心の緊張を和らげることができます。その方法の1つとして“深呼吸”があります。ただし、ここで言う深呼吸というのは、ラジオ体操でやるような胸式のものでなく、腹式呼吸を指します。体操のように手を使う必要はなく、吸う時に鼻から大きく吸って、少しお腹を膨らまし、横隔膜を下げて、肺を縦に使い、より多くの空気を取り入れます。その後、口からゆっくりと長めに吐くのですが、その際、口は小さく開けて、ほっぺたを膨らまして、吐くようにします。この深呼吸のやり方は、レッドソックスの松坂大輔投手が投球動作に入る前に、よくやっていますね。  なぜ深呼吸が、緊張を和らげるのに効果的か、その理由の1つに“内臓のほぐれ”があります。しっかりと深呼吸ができれば、横隔膜が上下に動く際に内臓を動かしてくれます(臓器の他動)。その際に各臓器、とくに消化器系の血行がよくなり、働きやすくなります(臓器の自動)。消化器系は、交感神経優位下では働きは抑えられ、副交感神経優位下で活発に働きます。これを逆手にとって、消化器系の臓器に動きをつけることで、副交感神経を刺激し、緊張が和らげるのです。もちろん、ゆったりとした呼吸動作そのものや、多くの酸素を取り込むことも緊張を解く重要な要素でしょう。しかし、私はこの“内臓のほぐれ”こそ最も大事だと考えています。  しかし、過度の緊張を抑え、自分をコントロールするのには、ただ深呼吸だけしてればいいというものではありません。自分をコントロールするのに最も必要なもの・・・それは、“自信”です。  浅田選手は、女子選手でトリプルアクセルを競技中に2度入れ、ともに成功させるという世界初の快挙をやってのけてみせました。これは、トリプルアクセルに対し、絶対の自信があるからこそ為せる業です。この自信を持って競技に臨んだから、成功のイメージを持って、コントロールできたのです。「どうしよう。できるかな?」なんて気持ちで競技に臨んで、自分をコントロールできるはずありませんから。  では、その自信はどこから来るのでしょう?それは、日頃の練習の積み重ねからしかありません。練習でできないことは本番ではできません。「ぶっつけ本番で成功!」そんなマンガみたいなことはありえないです。あの笑顔の裏に、凄まじい努力があるのかと思うと、つくづく感心させられます。  緊張は、「自分をよく見せたい」「良い結果を出したい」といった前向きの気持ちの表れでもあります。けっして負の面ばかりではありません。その緊張感を含めて自分をコントロールしたければ、それだけの準備、練習を積み上げるしかないのです。 ~〈整体師を目指す方へ今日の一言〉~  自分の技術に絶対の自信を持ちたかったら、ひたすら練習あるのみです。
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