馬を水辺に連れて行くことはできても・・・○

 昔、いつだったか学生の頃、『人は、馬を水辺に連れて行くことはできても、その馬に水を飲ませることはできない』という諺を聞いたことがあります。当時はあまり深く考えもしなかったのですが、最近では、とくに空手道の指導をしていて、まさにそうだなと実感する機会は多いですね。

 子供たちに教えることはできても、それをやろうとするか、しないかは、常に本人次第。同じ教え方をされて、自分から進んで学び取ろうとする者もいれば、自分の興味のあるところだけしか聞かない者、人の話し自体興味がなく、自分の好きにやりたがる者、さまざまです。もちろん個性は大事ですが、こちらとしては、「せっかく水辺に連れて来たんだから、飲めばいいのに!」と思ってしまいます。でも、それを口に出すと、それはきっと私自身のエゴになってしまうので、そこはこらえるようにしています。

 水(=知恵・知識・技術)は、のどが渇けば勝手に飲むだろうし、人に言われていやいや飲むものでもないですから。でも今ここで、水を飲まないことのデメリットはしっかりと喚起すべきです。良かれと思えばこその、水の必要性の注意喚起。その上で、飲まないということであれば、それはしかたないでしょう。自分の意志で決めるというのも、素直に人の言うことを聞くのと同じくらい大事なことですから。

 私は、『人は、馬を水辺に連れて行くことは・・・』の諺は、自分がエゴに走らないための戒めとして心に留めています。頭ごなしに相手の心を無視して、自分の言うとおりにやらせても、相手に嫌な思いをさせるばかりで、そこに何の成果もないし、自分もきっと後悔すると思います。それに一から十まで言い過ぎない方が、返って良い結果が得られそうな気もしますしね。

 もちろん指導者側の教えたいものと、生徒側の教わりたいものが合致して、指導者はどんどん教える、生徒はそれをどんどん吸収する、というケースもあるでしょう。しかし実際には、そんな理想的な展開は稀です。指導者側が教えたいことを、生徒側も常に教わりたがっていると思うのは、やはりエゴです。生徒がどんどん教わりたくなるような内容を、指導者は考えることが必要でしょう。

 これは日常生活にも当てはまります。例えば、夜、就寝時間になって、子供に「早く寝なさい!」とふとんにもぐり込ませることはできても、眠らせることはできませんよね。電気を消す、おしゃべりをさせない、など眠りにつきやすいようにするだけです。なかなか寝付けない時もありますから、それを叱ってもしようがありません。とりあえずおとなしく横になってなさいって感じでいいんでしょうね。

 馬に水を飲ませたかったら、それなりに工夫をしなきゃならないってことです。無理強いはいけません。 

 

=========================

《メルマガ『まぐまぐ』発行しています》

『整体師のミカタ』 に関してご意見やご要望などが ございましたら、お気軽にお知らせください。 http://www.mag2.com/m/0001002720.html   

これからもどうぞよろしくお願いいたします。  

=========================

 

2022年6月
« 5月    
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930