久しぶりに『モモ』を読み返しました。

 前回のブログで、ミヒャエル・エンデ作の児童文学『モモ』を紹介しましたが、その後、久しぶりに読み返してみました。この作品は、1973年作、岩波書店から日本語に翻訳・出版された年でも1976年です。しかし、40年前の作品とは思えないほど、今まさに、この現代を風刺しているかのような描写がたくさんありました。また、私が名言と感じる言葉も、数多く散りばめられています。読み進めていく度に、ハッとなったり、うんうんとうなずいたり、自分のことを指摘されているみたいで、急に恥ずかしくなったりしていました。もちろん物語としても、とても楽しめました。

 ストーリーは、主人公モモと仲間との心温まる交流、人知を超えた不思議な存在の登場、人間の時間を奪い取ろうと忍び寄る不気味な灰色の男、そしてその灰色の男達に仕組まれた、仲間との断絶や孤独、盗まれた時間と仲間を救うべく立ち上がったモモの最後の戦いなど、飽きさせない展開です。1986年に映画されていて、これも観た記憶がありますが、今再び映像化しても、きっと面白いんじゃないかと思います。

 それにしても、この作品を読むと、「時間って、何だろう?」、「時間を大切にするって、どういうことだろう?」ってしみじみ考えてしまいます。何か物事に集中してる時って、時間が早く流れますよね。好きな事をしている時間は、あっという間に終わってしまいます。でも朝、会社や学校に行く前の時間は、好きな事をしてる時間じゃないのに、これもあっという間に家を出る時間になっていますよね。

 また、勉強や、トレーニングなど、あまり好きでない時間はやたらと長く感じます。思えば、大学生の時、駐車場警備のバイトで一日立ち仕事で、8時間がものすごく長く感じたことを覚えています。警備といっても、基本的にそこにいるだけの仕事なので、「まさに今、時間をお金に変換しているんだな」という感覚でした。と同時に、もっと良い時間の使い方があるんじゃないのかな?と口惜しい感じもしていました。

  この作品の中で作者は、「時間とはすなわち生活だ」、「そして人間の生きる生活は、その人の心の中にある」と言っています。また時計のことを、「人間ひとりひとりの胸の中にあるものを、きわめて不完全ながらまねて象ったもの」と、表しています。そして、心に響いたのは、作中の人物マイスター・ホラの、「人間には時間を感じとるために心というものがある。そして、もしその心が時間を感じとらないようなときには、その時間はないもおなじだ。」という言葉です。

 この言葉で、私は時間という概念を少しだけ理解できました。『忙』という時は、『心』を『亡くす』と書きます。忙しい時ほど時間は、あっという間に過ぎます。心が時間を感じ取っていないのですから当然ですよね。時間の使い方というのは、心の在り方とセットなんだと痛感しました。 

 また、この作品の中で、子供達は遊び方も、灰色の男達に洗脳された大人に、遊戯の授業で強制されてしまいます。遊びのはずなのに、面白いかどうかではなく、役に立つかどうかが重要視されます。こうして子供達は、楽しいと思うこと、夢中になること、夢見ることを忘れさせられてしまうのです。なんか、「ドキッ」っとしませんか?こんなんで、「元気に明るくあいさつ」なんで出来っこないでしょう。

 それによく「ムダに過ごした時間なんてない。きっと何かの役に立っている。」なんて言いますよね。もちろん一見関係のないムダに見える行いでも、何かと何かが関連していって、「あの時のあれの一端が、今のこれにつながっている。」なんて実感することもあるでしょう。そう思うと、ただ効率的に、大人の狭い了見で考えた何かだけをやるというのは、いざ自分が何者かに成りたいと思った時に、その土台をせばめてしまっているのではないでしょうか?

 読み進めていくと、本当にこの作品は、現代への警鐘に思えるのですが、救いもあります。それは、最後に時間どろぼうをやっつけた後、エンディングで、町並みは殺風景に作られてしまったままでも、そこの住人達には、笑顔と自分達の時間が戻ってきたからです。それは、パソコン・スマホ全盛の世の中、効率と競争優先の社会においても、自分達は今からでも、心の在り方しだいでいくらでも変われることを指しています。周りは変わらなくとも、自分の心の在り方で、時間にゆとりを持つことは可能なのです。時間を大切にするということは、きっと自分の生活そのものを充実させ、大切に過ごすいうことなのでしょうね。

 私はこの作品を読み終えて、これはずっとそばに置いておかなきゃいけない、時々読み返して、自分の軸をここに戻さなきゃいけない、その為の本だと思いました。

 今回は、ブログと読書感想文、半々の内容でしたね。

 

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