危険回避の芯

部活事故:中1女子、柔道で頭打ち死亡 福岡市教委発表 ( 毎日新聞 2015年05月29日)

 福岡市教委は28日、博多区の市立中学校で柔道部の練習中、技をかけられた1年の女子生徒(13)が頭を打って意識不明となり、その後死亡したと発表した。女子生徒は4月に入部したばかりの初心者だった。市教委は近く専門家らで作る第三者委員会を設置し、原因究明と再発防止に取り組む。

 市教委によると、今月22日午後6時45分ごろ、女子生徒は校内の武道場で先輩の女子生徒と2人1組で練習中、大外刈りの技をかけられて転倒し、後頭部と首を打ち意識不明になった。すぐに救急搬送されたが、意識が戻らないまま27日午前に死亡した。脳内に出血があったという。

 練習時、いずれも有段者の顧問教諭とボランティア指導員2人の計3人が男女計14人の生徒を指導していた。毎日朝の練習で各生徒の体調を確認しているが、女子生徒から体調不良の訴えはなかったという。

 市教委は「指導方法に問題はなかった」とした上で「学校管理下で生徒の死亡事故を引き起こしてしまい大変申し訳ない」と謝罪した。

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 また柔道で、部活中の不幸な事故が起きました。福岡市立の中学校で、柔道部の部活中に、中学1年の女子部員が、2年の女子部員に大外刈りを掛けられて、後頭部を強打し亡くなってしまったのです。本人と、親御さんの無念さを思うと、本当にいたたまれなくなります。また技を掛けた女の子のショックも大きいことでしょう。2012年からは柔道の死亡事故は無くなり、中学の武道必修化に向けての、柔道の安全指導の成果が実を結んできたと思われてきた中での事故だけに、徹底した原因究明が求められます。

 事故の内容も、『大外刈りで後頭部強打』という、今までも事故例の多い典型的な事故だけに、どうして防げなかったのだろうと不思議でなりません。『市教委は「指導方法に問題はなかった」』と言っているそうですが、問題がないならなぜ、事故は起きたのでしょうか?本当に問題がないなら、これは『たまには死亡事故が起きること前提の練習内容』ということなのでしょうか?理解に苦しみます。

 この指導方法には必ず問題があるはずです。死亡事故をゼロにするやり方は必ずあるはずです。それを見つけようとしないまま続けるのであれば、次の犠牲者はきっと出てしまうでしょう。

 大外刈りで投げられた時は、受身の取り方として、左手で畳を叩きながら、左半身を下側にして倒れます。後頭部を打ったということは、真後ろに倒れてしまった可能性もあります。またその際、瞬間的に投げられまいとして足を踏ん張ってしまい、のけ反ってしまったのかもしれません。初心者ということですので、後ろに投げられるのが怖くて、左手を相手の右袖から離せず、掴んだままで受身に使えなかったことも考えられます。柔道に関してド素人の私でさえこのくらいすぐに思いつくくらいですから、実際には初心者にとってはかなり危険と隣り合わせと言えるでしょう。

 部活中には、顧問の先生のほかに、ボランティアで2人の男性もいっしょに指導にあたっていたとのこと。一見、十分なように見えますが、私はここに落とし穴があったように思います。ボランティアの男性は想像するに柔道の有段者、いわゆる『柔道の先生』でしょう。先生は、「だいだいこのくらいの受身の練習期間を経れば、投げ技に入っても大丈夫」という感覚を持っていたと思います。しかしその感覚に頼るのはとても危ういのです。

 今の子たちは、外で相撲を取り合ったり、取っ組み合いのプロレスごっこをしたりという原体験、投げ技系の遊びをすることは、とくに女の子はほとんどないと思います。ちなみにウチの娘も、一度もしたことがありません。原体験としてもしやっていれば、自然と受身に近い動きが出るでしょう。力の弱い小さい者同士で、ケガの可能性が低いうちにこういう経験をするのは、昔は当たり前でした。ですから投げるほうも、この方向に投げたら危ないなとか、力はここで加減しないとマズイなとか、直感が働くのです。自分らが子どもの頃は、遊びの中で、そういう『危険回避の芯』みたいなものを知らず知らず育てていたのです。

 指導者がその感覚のまま、今の子たちに指導すると、持っているはずの『危険回避の芯』がないので、思わぬケガにつながります。転んでも、手をつけずににそのまま顔面を打ったり、手のつき方がヘタで骨折したり、肘を脱臼したりしてしまう子どもがいるくらいです。ですから、「入部してもう1ヵ月以上経つのだから、投げ技の受身も普通に取れるだろう」と安易に考えてはいけないのです。

 中学生、高校生の時期は、勉強も運動もどんどん吸収していきます。体格も体力もどんどん成人に近づいていきます。部活も熱心に取り組めば、中学の3年間でビックリするほど技量が向上します。しかしできることが多くなれば、その分危険度も増すのです。そこを踏まえた上で、教える側、教わる側は、いろいろなことに臨むべきだと思います。その際、『危険回避の芯』をどの程度持っているかも、ぜひ考慮してほしいですね。

 亡くなられた生徒のご冥福と、このような悲しい事故が二度と起きないことをお祈りいたします。

 

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