「自分がされていやなことはやらない」を教えるには

熱したスプーンを生徒の手に、苫小牧の中学教諭が体罰(2008年3月14日 読売新聞)  北海道苫小牧市内の市立中学校で昨年3月、男性教諭(39)が理科の授業中、ガスバーナーで熱した鉄製のスプーンを当時2年生だった男子生徒(15)の手に押し当て、全治2週間のやけどを負わせていたことがわかった。  市教委は学校から体罰の報告を受けたが、1年間にわたって道教委への報告を怠ったため、男性教諭の処分も行われなかった。市教委によると、男性教諭は昨年3月8日、理科の実験でガスバーナーを使用した際、男子生徒が熱したスプーンを同級生の手に押し当ててふざけていたため、「自分がやられたらどう思う」と言って取り上げたスプーンを熱し直し、男子生徒の右手の甲にスプーンを押し当てたという。男子生徒は翌日、全治2週間と診断された。男性教諭は治療費を負担し、生徒や保護者に謝罪した。  市教委は体罰について、翌日には学校側から連絡を受けていたが、道教委には先月下旬まで報告していなかった。市教委は「当時は学校側の対応で収まるとの判断もあった。さらに、担当職員の異動時期で十分な引き継ぎが行われず、うやむやになった」としている。 ~:~:~  学校(とくに小中学校)には、勉学を教えるのみならず、社会規範や道徳など、しつけにあたる部分の役割も求められています。この教諭はけっして、私的感情やストレス発散のため、生徒に体罰を加えたのではありません。「自分がされていやなことは他人にやらない」、「(授業など)真剣に取り組むべき時にふざけない」ということを教えるために、今回このような行為をしました。この教諭は問題教師どころか、きっと、正義感の強い、曲がったことがきらいな先生なのでしょう。他の生徒に悪ふざけをしている姿が許せなかったのでしょうね。私はここを重要視したいと思います。  男子生徒のやけどは全治2週間ということなので、おそらく真皮のやけど、すなわち水ぶくれ程度のものでしょう。範囲もスプーンの大きさですから軽傷で済んでいるはず。たしかに指導方法に行き過ぎの面はありますが、教諭が治療費を負担し、生徒やその親御さんに謝罪もしていることから、市の教育委員会も大きな問題ではないと判断し、道の教育委員会に報告しなかったのでしょう。  教諭が、生徒や親御さんに謝罪していますが、もしそこで、親御さんの方から「こちらこそ、ウチの息子がご迷惑をおかけし、申し訳ありません。これからもご指導のほどよろしくお願いいたします。」と子供の前で謝罪できていれば、りっぱな教育になったと思います。逆に、「こんな体罰は許されない!息子に謝れ!」と罵倒していれば、この生徒は、「このくらいの悪ふざけは許される。叱る先生の方が悪いんだ。」という誤った認識を持ってしまうでしょう。この生徒は元々は、他の生徒に対しては加害者です。今回、この教諭のやり方は正しくなかったかもしれませんが、この生徒は、他の生徒に対して危害を加えた罰を受けなければなりません。それが、お咎めなしとなってしまえば、カン違いをしたまま大人になってしまうでしょう。  「自分がされていやなことはやらない」ということを教えるには、実際にいやな思いを体験させるのがたしかにてっとり早いですが、だからと言って、“因果応報”や“悪いことをすると罰(ばち)が当たる”などの言葉どおりに、だれかにケガを負わせたなら、そいつをケガさせていいというものではありません。教育に熱心なあまり、時として声が大きくなったり、大きな音を立てたりしながらお説教することもあるでしょう。しかし、体罰に説得の手段を求めるのではなく、相手の身体の痛みや心の痛みを想像させながら、自分がその痛みを受けたらどうかを考えさせ、自分の非を認めさせることができればいいのではと思います。  このニュースを読み、「体罰は悪」という認識を十分持っていながらも、この教諭の行動に一定の理解を示すという、ある意味二律背反している自分がいます。人によってもさまざまなご意見がおありだと思います。万人が納得する結論はないのかもしれません。 ~:~:~:~:~:~:~  「自分がされていやなことはやらない」これを学んでこなかった人は、整体をはじめ、人の身体になんらかの施術をする仕事を目指すべきではありません。  ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆  ↓励みになります。1日1回のクリックおねがいしま~す blogRanking にほんブログ村 健康ブログへ
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