安きゃいいってモンじゃない

吉野家、ラーメン撤退…低価格通じず (2009年6月19日 読売新聞より)  吉野家ホールディングス(HD)は18日、首都圏や関西などで展開する「びっくりラーメン」など58店舗の運営から8月末で撤退すると発表した。  売却先が見つからなければ店舗を閉鎖する。売り物の低価格路線が本格的ラーメンを好む消費者の志向にかなわず、撤退を余儀なくされた。  1997年に大阪市で創業したびっくりラーメンは1杯180円の「激安ラーメン」として話題をさらったが、急激な店舗拡大などで収益が悪化。事業を運営していた「ラーメン一番本部」が2007年8月に経営破綻し、吉野家HDが8億円で事業を譲り受けた。  スープやチャーシューの質を向上、価格も250円に引き上げるなど立て直しを図ったものの、ラーメンブームの中で続々と現れた素材にこだわる店に対抗できなかった。 ~:~:~  私も一度だけ、びっくりラーメンを食べたことがあります。 そう、一度だけ。2回目は食べる気になれなかったのです。ここに、経営破綻の根幹が見えるのではないでしょうか。つまり、『安い』 だけでは売れない、たとえ1度売れても次はない、ということなのです。  私のその時の食べた感想としては、たしかにこのラーメンは180円分かそれ以下の価値しかないな、というものでした。量も少なくて1杯では満足できないし、味も別においしいと思わない。感動も何もありませんでした。これなら、180円出して何か別のものを食べようという気になりました。  180円でラーメンが食べられるというのは、びっくりです。圧倒的な安さです。しかし、それは他の450円とか、500円のラーメンと比べて遜色ない質・量・味を兼ね備えてはじめて本当の『びっくり』 になるはずでした。それが、おそらくただ値段だけの追求になってしまったのでしょう。そして、180円のラーメンは、180円以下の価値しかない駄食と成り下がってしまいました。こうなると、いくら安くても客足は遠のくばかりです。  今の経営母体である吉野家自身が、会社更正法の適用を受ける前に、利益確保のため、味・質の低下を招き、結果、客離れに歯止めがかからないといった事態を経験しています。それゆえ、吉野家が経営をするようになってから質の改善を図ってきたものの収益は改善せず、あえなく撤退ということになってしまいました。  お客さんは、安さのみを求めて来るのではありません。安きゃ何でもいいってモンじゃないんです。おいしいものが安くてはじめて、食べに来るのです。次も来たくなるのです。誰かに紹介したくなるのです。同じように、低価格でラーメンを提供しているチェーン店に、幸楽苑があります。ここの中華そばは、とてもおいしく、とても290円(税別)には思えません。その他のメニューも充実してますし、ギョーザも安くてとてもおいしいです。幸楽苑が繁盛するのはよく分かる気がします。  その一方、行列のできるラーメン店のラーメンは、そんなに安くはありません。都内の有名店で、700円や800円はザラでしょう。これでもひょっとしたら安い方かもしれませんね。場合によっては、素材にトコトンこだわった1杯1500円とか、2000円のラーメンをあえて並んでまで食べるという光景も見られます。お客さんにとっては、お店の雰囲気とか、接客サービスとか、もちろん味とか質・量に至るまで、支払う金額以上の満足を得られるから、また足を運びたくなるのでしょう。その満足度からすればきっと、そのラーメンの値段は安いのだと思います。   振り返って、自分のことに置き換えてみると、私は、施術料は基本4600円(50分~1時間程度)で、やっています。越谷近辺ではほぼ相場かなと思っています。あとは、患者さんにこの料金以上の効果を実感してもらえるかどうかだと思っています。 ~〈整体師を目指す方へ今日の一言〉~  料金設定は、自分の技術に対する自信の裏返しでもあります。あまりに安すぎる設定しかできないなら、それだけの価値しかないと思われてもしかたありません。
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