独りで抱え込まない

「小5自殺は体罰」認定 北九州市に880万円賠償命令 (2009年10月1日asahi.comより抜粋)  北九州市若松区の市立小学校5年生だった永井匠君(当時11)が自殺したのは担任教諭(退職)の体罰が原因だとして、両親が市に損害賠償約8100万円の支払いを求めた訴訟の判決が1日、福岡地裁小倉支部であった。岡田健裁判長は担任の行為について「社会通念に照らして許容範囲を逸脱し、体罰に該当する。もっぱらこれが直接的な原因となって自殺したと認められる」として、約880万円の支払いを市に命じた。  判決によると、匠君の担任だった女性教諭は06年3月16日午後、匠君が振り回した新聞紙を丸めた棒が女子児童に当たったと聞き、「謝りなさい」と大声で注意。匠君は「謝ったっちゃ」と反論し、言い争いになった。担任は席に座っていた匠君の胸ぐらをつかんで体をゆすり、匠君は床に倒れ落ちた。 さらに担任は、「帰る」と言った匠君に「勝手に帰りなさい」と大声で言い放った。教室を飛び出した匠君は数分後に戻ったが、「何で戻ってきたんね」と担任に怒鳴られて再び飛び出した。担任はこのことを両親や校長に知らせなかった。同日午後4時50分ごろ、匠君が自宅で首をつっているのが見つかった。  判決は、匠君は5年生になってから約1年にわたり担任に頻繁にしかられていた と認定。「担任への不満を抱えていたところに、本件懲戒を受け、衝動的に自殺に及んだ」と指摘した。  市側は、匠君が自殺した当日の担任の行為について「トレーナーの胸元から肩付近をつかむようにして持ち、やや押すようにしただけで、教師に認められた懲戒権の行使の範囲内」と主張したが、判決は、同級生の証言などから許容される範囲を超えていると判断した。
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 とても悲しい事件ですね。なんで将来ある子供が自殺しなければならないのだろうと、やり切れない思いです。記事では、自殺の原因は体罰にあると言っていますが、身体的な体罰でなく、担任の生徒への『心への体罰』 が原因だと思います。  1年間にも渡る叱責が相当なストレスになっていたところへ、最後は明確なる拒絶。一旦教室を出た後、勇気を出して(もちろん反省もしてたでしょう)、戻ったにもかかわらず、それを拒絶されたのです。こうした担任の一連の対応が少年を死に追いやったのだと想像できます。    この担任は、きっとこの少年の為を思っての「叱り」方は、これまでして来なかったのでしょう。そこには、生徒が自分の言うことを聞いてくれない「怒り」しかなかったのだと思います。生徒が、自分の意に反した行動を取るたびに、いちいち癇に障っていたのでしょう。そして、それを改めることのできない自分への自己嫌悪も混じっていたのかもしれません。いずれにせよ、この担任の1年にも渡る叱責というは異常です。それを放置していた校長や教頭、学年主任の責任も大きいと思います。  この問題の背景には、『担任』という制度があると思います。もちろん、担任の教師はクラスには必要です。しかし、担任がすべての生徒を独りで面倒を見ようとするところには無理があると思います。結局、何か問題が発生しても、独力で解決しなければならないと考えてしまい、独りで抱え込み過ぎて、そのストレスを生徒に向けてしまうのです。「この生徒は、私の邪魔ばかりする。」 とか、「この生徒さえいなければ・・・」 とか、生徒を敵視するようになっては終わりです。  たとえば、それを防ぐため、副担任を置くとか、学年主任がフォローする だけでなく、この際思い切って、担任を複数にするのはどうでしょうか?人件費等の問題があるなら、2クラスを2人で見るのです。授業は、国語と社会は2クラスともA先生、算数と理科はB先生。学活(ホームルーム)も1日置きとか、1週間置きとかクラスを替えて行う。こうすれば、一方の教師と、ある生徒との間にストレスが発生しても、別の教師が自分のクラスの問題として解決に参加できます。     生徒の方も、担任として同等あれば、もう一方の教師に相談しやすいでしょうし、独りで問題を抱え込まなくてよくなります。 子供は、親に気をつかいます。学校で少々の問題が起こっても、親に心配をかけまいとか、手を煩わせたくないとか、親からすればよけいな気をつかってくれています。何でも話してくれていいのに、子供は子供なりに話すことを選んでいる場合があります。    ですから、親が子供としっかりとコミュニケーションを取っていれば、相談に乗っていればいい、というのは解決になりません。親は子供の学校生活の様子を100%把握するのは無理なのです。まずは、学校側で防止策をしっかりと講じてもらう必要があります。  今年の8月までの自殺者のペースは、過去最悪なのだそうです。それぞれに相当な理由があると思いますが、それでも問題を独りで抱え込まないでどんなことでも誰かに相談してほしいと思います。道は、いつも1本ではありません。周りを見渡すことができれば、死なずに済む道があることに気づくはずです。  
~〈整体師の味方コメント〉~
 個人で開業している整体師も仕事柄、独りで考え、思い悩む時も多いと思いますが、相談できる仲間を持っておくことは大事です。  =========================
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