日本中を震撼させた、愛知の立てこもり事件は、死者と重軽傷者を出し、説得を受け入れた犯人の投降・逮捕で事態は収拾しました。しかし、私は今回の警察の犯人逮捕にいたるまでの対応にかなりの失態があったように思います。その結果が、23才の若い機動隊員の死亡です。
通報を受け、駆けつけた警官が撃たれ、その警官を助け出せずにそのまま5時間以上が経過し、そして警官を助け出す際に機動隊員が撃たれ、死亡するという拳銃を持った犯人に対し後手後手の対応しかできず、しかも起こってしまった事態にも的確に素早い判断が全くなされませんでした。人質救出にも手をこまねいて何もできず、人質はなんとか自力で脱出しています。結局、実際に目に見えた行動は、犯人が疲れて投降するまで説得するということだけでした。現場の指揮にあたっていた方のこのような手法は、ほめられたものではありません。
失態の原因は、常に犯人に主導権があり、それに振り回された警察の対応が後手に回り、一度も主導権を握れなかったことにあります。確かに、相手は拳銃を持っており、その使用にもためらいはない。近寄るものにはすぐさま発砲し、それもしっかりを的に当てている。人質の殺害や自殺も考えられる。そのような、特異的な状況での判断、行動には、ひとつ間違えれば大変なことになるリスクはあるでしょう。だからといって、主導権を渡したままで様子を見たまま、警官救出の際にも発砲を許し、そして機動隊員死亡という最悪な結果を生んだ責任は大きいと思います。機動隊員が死んだ責任は、もちろん撃った犯人にあり、他の罪と合わせて厳罰に処されなければなりません。しかし、私は現場指揮に当たった指揮官にも、責任があると思うのです。これは必然でなく、避けられた死です。
部下は、上司・上官の指示に従い、行動します。それはその上司・上官が出す指示が正しいものと信頼し、責任をちゃんと持ってくれると信頼しているから、安心して従うことができるのです。この現場指揮官は、結果的に機動隊員達の信頼を裏切りました。せめて、警察は、この機動隊員の死を「この仕事はこういうもある」「今回はたまたま運が悪かった」で済まさず、しっかりと責任を追求し、万が一にもこのような若くて勇気ある優秀な方が命を失うことのないようにつとめていただきたいと思います。
部下の責任は100%上司がとる。これはどんな仕事にも共通です。これができない人は、人の上に立って仕事をすべきではありません。
最後に、今回の事件解決、負傷者救出に全力を持って、職務にあたられ、殉職されたこの機動隊員さんのご冥福をお祈りいたします(あえて氏名は伏せます)。
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