発した言葉の重み○

 今秋のドラマで、松嶋奈々子さん主演の『家政婦のミタ』がとにかく面白いです。(以下ネタバレ含みます) ↓ ↓ ↓ ↓ ↓

 

 

 

 

 夫の浮気が原因による妻の自殺、その残された家族と、派遣された家政婦を描くシリアス調のものですが、松嶋さん演ずる家政婦の雰囲気がまさにミステリアス&ホラー。そのたたずまいにハッとしたり、ゾッとしたり。そうかと思えば、何個もお手玉したり、アンパンマンのキャラを全部暗唱できたり、パンダの折り紙も苦もなく折ったり、またカバンの中には「今、これ欲しい!」と思ったものが何でも入っていたりと、スーパー家政婦ぶりを発揮します。この辺はコメディですよね。このバランスがとてもイイのです。

 ドラマの中で、家族が本当は本心では、そこまで思っていなくても、ミタさんに頼むと何でもやってしまいます。幼稚園児の末っ子が「死んだお母さんに逢いたいから、いっしょに死んで。」と頼むと、いっしょに川で入水自殺しようとしますし、小学生の次男が、自分をいじめる相手を「あんなヤツ、みんなの迷惑だし、殺して。」と頼むと、本当に首を絞めて殺そうとするし、高校生の長女が「父の会社に、母の死の真相と浮気の件バラしてきて。」と頼むと、本当に会社の前でビラ配ってしまいます。4話では中学生の長男が何かとんでもないこと頼むのでしょうか?

 ミタさんがどこまで本気で、どこまで結末を想定してことに及んでいるかは、無表情なのでまったく分かりません。一応ラストは、私としては毎回納得のいく、溜飲の下がる終わり方になっていますが、一方でミタさんの謎もますます深まるばかりで毎週毎週次が楽しみになります。勝手に想像すると、昔ミタさんには子供(達?)がいたのですが、自分が子供に頼まれたことをしなかったせいで、子供は死んで自分だけが生き残ってしまいます。それを猛烈に悔やみ、深い悲しみから自らの感情にふたをして、別の家族の頼まれごとを100%果たすことで、罪滅ぼしをしているという感じでしょうか?

 それでこのドラマを楽しく観ているうちに、つくづく、本来言葉には『重み』というものがあるんだなと思いました。最近の会話は、言葉が軽すぎる。ひどい言葉でも、汚い言葉でも平気で言ったりします。これは携帯メールでも同じかもしれません。「死ね」「死ねば?」「ハイ、死んだ」「殺す」など死に関する言葉や、「ムリ」「シラネー」「キモイ」「ハァ?」など相手の感情を逆撫でしかねない言葉など無造作に使われています。自分の発した言葉の先に何があるかも考えないで、刹那的に思ったことを口にします。

 結果、相手が傷ついたり、反撃されて自分が傷ついたりと、先に良い事はなにも待ってないと思うのですが、自分の今の感情をとにかく吐露したい、ぶつけたいのでしょう。しかし自己主張をする場合にも言葉は選ばなくてはなりません。それぞれの言葉には『重み』があるのです。重たい分、自分に返って来る反動も大きいのです。

 このドラマでミタさんは、一切の感情を排除し、頼み事を忠実に遂行することで、頼んだ本人に、そして視聴者に発した言葉の重みを伝えようとしているように思います。よく「怒った時にはまず、心の中で10数えろ」と言いますが、誰かに何かを伝える際には、冷静にちょっと間を置いてからの方がいいですね。

 

〈整体師の味方コメント〉

 整体師の何気ないひと言で、患者さんを傷つけることもありますし、また、逆に勇気や元気を与えることもあります。場合によっては、会話は施術以上に大切な瞬間(とき)があります。

 

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