一番の責任は、身の安全を守ること○

「疲れて何度かブレーキ」 関越道事故、過労運転自覚か(2011年5月2日asahi.comより)

 群馬県藤岡市の関越自動車道で起きた高速ツアーバス事故で、運転手の河野化山容疑者(43)=自動車運転過失致死傷の疑いで逮捕=が県警の調べに「疲れていて、運転中に何度かブレーキを踏んだ」と供述していることが、捜査関係者への取材で分かった。県警は、河野容疑者が過労で危険を感じながら運転を続けていた疑いがあるとみている。運行会社幹部についても道路交通法違反(過労運転の下命・容認)容疑にあたらないか調べる方針だ。

 県警によると、河野容疑者は逮捕後の調べで「疲れて居眠りをしていた」と供述。事故前日については、4月28日朝に金沢市に到着後、同市内のホテルで休憩したものの「寝たり起きたりを繰り返していた。夕方にチェックアウトした後は食事などをしていた」と説明。寝不足の状態で乗務したことを認めているという。

 バスは28日午後10時10分ごろに金沢市を出発。河野容疑者は事故を起こすまでの約6時間半、1人で乗務していた。富山県高岡市で高速道路に入った後、15分ぐらいずつ3回の休憩をとったとしているが、休憩場所や走行ルートについては「覚えていない」と話しているという。

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 楽しいはずのゴールデンウィークを悲劇に変えた、高速ツアーバス事故。その衝撃は計り知れなく、マスコミも連日のように報道しています。事故の直接の原因は、運転手の証言どおり『居眠り運転』。わき見ではなく、居眠りですので、当然、バス会社には家宅捜索が入りました。バス会社の管理責任は厳しく問われますが、やはり私は、この運転手の落ち度を追及せずにはいられません。

 バスや長距離トラックなどの運転手の労働環境は厳しく、長引く不況や、規制緩和による競争激化で、その負担が人件費の抑制という形で、運転手に重くのしかかっています。ですから、事故を起こした運転手もある意味被害者であるという論調は、多少理解できます。過酷な労働を強いられた結果だと。事故を防ぐ努力は、国も業界も懸命に取り組まなくてはなりませんが、しかしそれでも、事故を起こした運転手の責任は厳しく問われるべきです。そこに同情の余地を挟んではならないと思います。

 『過労運転等』の交通違反は、『酒気帯び運転(0.25以上)』や『共同危険行為等禁止違反』に並ぶ、25点の厳しい罰則が科せられる重大な違反行為です。免許取り消しで、欠格期間も2年以上です。もちろん居眠り運転もこの過労運転等に該当するのですが、この運転手は、居眠りをしてしまうにすでに過労運転状態になっていて、かつその認識が本人にあったのではないかと思うのです。

 もちろん眠気を我慢して、時間どおり乗客を目的地まで届けるのは、運転手の責任でしょう。しかしその眠気で事故を起こしてしまっては何にもなりません。一番の責任は、乗客の身の安全を守ることでしょう?サービスエリアでの休憩時にハンドルに突っ伏して寝るくらい眠いのだったら、安全運転なんて無理でしょう。それだったら、あとでどんなに怒られようと、「すみません。突然気分が悪くなってしまい、1時間ほど休ませてもらえないでしょうか。」と休んでしまえばよかったのです。

 乗客からすれば、「ふざけるな!契約不履行で訴えるぞ。」っていう話しですが、事故を起こされるよりマシでしょう。乗客や、会社から怒られるのがイヤで相当な眠気を引きずったままハンドルを握り、結果、大事故を起こしてしまったことに言い逃れはできません。走行中でも本当にヤバイと感じたら、緊急避難的に路肩に停車する方法もあったはずです。でも、運転手はそれもしませんでした。

 ヒューマンエラーはどこにでもある物です。日勤夜勤が続き、過労から看護士さんが、点滴を取り違え、患者さんを重篤な状態にしてしまったニュースも過去にありましたね。これもある意味看護士さんもかわいそうです。しかし、正常な勤務ができないほど疲労困ぱいしていて、それでも働こうとする行為を「しかたないね」で済ましてしまっては、このような事故を防ぐことはできないでしょう。職務を遂行することよりも、その遂行が困難な場合は、それを中断することも選択肢として入れるべきではないでしょうか。 

 

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