『凡事徹底』何事もやっぱりこれに尽きますね○

Number Webのコラムがとても心に響いたので、下記のとおりご紹介します。まずは読んでみてください。

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 前橋育英(群馬)の監督、荒井直樹は常に「平熱」の人だ。 「監督のすごいと思うところは?」という質問に対し、一塁手の楠裕貴は、真っ先に「怒らないところ」と答えた。 「野球以外のことでは厳しく注意されることはありますけど、声を荒げたりすることもない。1カ月間、ほとんど誰も注意を受けないこともある」

 延岡学園(宮崎)との決勝戦で、4回裏に3点先制されたときも、5回表にすかさず同点に追いついたときも、ベンチ前に立つ荒井が喜怒哀楽を表現することはほとんどなかった。 「ここまできてドタバタしてもしょうがないので。ガツガツやってもいいことないじゃないですか」 指揮官も、選手も、強さの理由を尋ねても「特別なことは何もしていない」と繰り返した。逆説的だが、強いて言えば、それが「特別」だった。 

 荒井の座右の銘は「凡事徹底」。今年のチームとこれまでのチームはどこが違うかと問うと、こう答えた。 「毎朝、散歩しながら15分間ゴミ拾いをしているんですけど、今年はそういうこともきちんとできるチーム。本物というのは、そういう平凡なことも、きちんと積み重ねることができるチームのことだと思うんです」 「インコースの打ち方を覚えるよりも、まずはトイレをきれいにしろ」

 指導の礎としたのは、日大藤沢(神奈川)を卒業し、1983年に就職したいすゞ自動車での経験だ。 「インコースの打ち方を覚えるよりも、まずはトイレをきれいにしろ、靴をきれいにそろえろ、というチームだった」 入社当時、チームは低迷期で大学生相手にも負けてしまうほどだった。入社7年目に都市対抗の本戦に出場したときは、実に18年振りだった。 

 ただ、そんな気風が荒井の性に合ってもいた。 「社会人で13年間やらせてもらったけど、常に『クビ候補』の選手だった。ピッチャーを失格になり、外野手もダメで、内野手になって、ようやく少しずつ試合に出させてもらえるようになった。すぐにできるタイプじゃないんです。そういうセンスがないんだと思う。じっくり、じっくり、なら何とかなるんですけど」  そして荒井の退社後、2002年にいすゞ自動車は全国制覇を成し遂げた。時間はかかるが「凡事徹底」はあらゆるところに生きることを確信した。 強いと思ったことはない。でも、どこよりも我慢強い。

 いすゞ自動車が優勝した年は、荒井が前橋育英の監督に就任した年でもある。いすゞ自動車は優勝を花道に休部が決まっていた。そこで荒井は「いすゞ自動車の意志を継ぎたい」と前橋育英のユニフォームをいすゞ自動車とまったく同じデザインのものに変更した。 「ラインの太さも、帽子のマークの角度が5ミリぐらい上がっているのも、そっくりなんです」

 そんな荒井の思いが反映したのだろう、前橋育英も、時間はかかったが当たり前のことを辛抱強く継続できるチームに成長した。 「強いと思ったことは一度もないんです。相手をねじ伏せるような力があるわけじゃない。でも、どこよりも我慢強い。そういうチームになったとは思います」 それを象徴していたのが準々決勝の常総学院(茨城)戦だった。 0-2と2点リードされ、9回2死走者なしまで追い込まれた。しかし、そこから同点に追いつき、延長戦でサヨナラ勝ちを収めた。

 決勝戦も4-3と1点リードで迎えた最終回、無死一、二塁のピンチを招いたが踏ん張った。 「バックネット裏の人たちまで向こう(延岡学園)を応援してましたからね。これはピッチャーも大変だろうなと思いながら見てましたけど」 「たとえ負けても自分のやり方を変えることはなかったと思います」

 前橋育英の監督就任から11年間、周囲の人間に「甘い」と言われながらも自分のスタイルを貫いた。 「僕の中で当然と思えることをやってきただけ。怒ることが指導ではない。勝ったことでそれを証明できたと思う。でも、それをあえて言うつもりもないし、たとえ負けていても自分のやり方を変えるということはなかったと思います」  荒井はあくまで穏やかな口調でそう語った。

 誰にでもできるようなことを誰にもできないくらい長い時間、積み上げた。それが荒井の指導者としての最高の才能であり、前橋育英の強さだった。

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 私も埼玉に来る前は、群馬の高崎に住んでいたので、前橋育英のことも応援していたのですが(準々決勝は、故郷茨城の常総学園なので困りましたが)、まさかまさか初出場で初優勝するなんて思ってもみませんでした。自分にゆかりのある県が活躍するのを見られるのはとてもうれしいですね。

 しかし、このコラムを読み、荒井監督の『凡事徹底』という言葉を聞いて、あらためて普段の何気ないことの積み重ねの大事さに気づかされました。そして、前橋育英の優勝は、ラッキーでも偶然でもなく、ある意味必然、当然の結果だったのだと感じました。

 また別のNumber Webのコラムでは、こんなことも書いてありました。   

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 前橋育英は「凡事徹底」という言葉を掲げ、小さなことを積み重ねて強くなってきたチームだった。全力疾走やカバーリング。日常生活においては、挨拶や時間厳守、掃除を重んじ、人間性を高めてきた。荒井直樹監督は言う。 「野球以外の面で重視しているのは、服装と時間、清掃などです。服装が乱れたら、社会では生きていけません。時間はただ、集合時間に間に合えばいいということではなく、提出物をきっちり守るとか、『間に合う』ということが大切。掃除については、片づける人間か片づけられない人間なのかどうか。野球の試合の中には、『試合を片づける』という部分がありますし、そこにつなげて話をします」  一方の延岡学園も、日々の積み重ねを重視するチームだった。

 野球の練習だけではなく、日常生活・学校生活で自身を律する。挨拶やゴミ拾いなどの当たり前のことを当たり前に繰り返してきた。重本浩司監督は言う。 「うちの学校は大峡町というところにあるのですが、甲子園の出場が決まった時に、町の方から今年は甲子園に行くんじゃないかと思った、と言われました。挨拶や普段の行動を見て、今年は違うと思ってくれたそうです。僕は、勝ったことよりも、そう言ってもらえたことが嬉しかった。今年の3年生は普段の生活にしても、寮生活にしても、コツコツと積み重ねてきた。人の良さ、人間性はあると思います」

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 挨拶・返事・掃除などの普段の行いを徹底することがなぜ強さにつながるのか、これはわざわざ私が持論を述べる話しでもないのかもしれませんが、おそらく『素直さ』と『自主性』をはぐくんでいるからだと思うのです。人から指導してもらえる環境と、その指導を素直に聞く態度、そしてただ言われたことだけをやるのではなく、言われた中身を理解し、自分から行動できる自主性を持つこと。これらがそろわなければ、けっして本物の強さは生まれて来ないのだと思うのです。

 人の言うことに耳を傾けなかったり、自分の興味のないことには手を抜いたりしていては、たとえどんなセンスの持ち主でも上達するはずがありません。それにその競技を離れた後も、きちんと挨拶・返事・掃除など普段の行いができる人は、どこに行っても、そこで何を始めても、きっと通用します。社会に出る前に、凡事を徹底してやること学ぶことのできた、前橋育英の高校生たちは、優勝以上の幸せを手に入れているんだと思います。

 

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